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編集長のズボラ料理(389) ハクサイ焼き

軽く焼き焦げができる程度が良い

 「全感連」をご存じだろうか。知っている人は少ないかもしれない。何せ、小さな組織だから。
 正式名称は「全国感動連盟」という。これでも知らない人がほとんどだろう。グーグル検索でも引っかからないはずだ。
 ただ、ひっかからない方がいいと思うこともある。例えば食べ物屋を探すとする。その店のホームページを見たいのだが、まず食べログが出てきて、ぐるなびやらホットペッパーグルメが続き、レティまでが出てきて、なぜか同じものがぐるぐる巡り、なかなか目指す店のホームページにたどりつかない。どうで行き着かないのなら、検索でひっからないのと大差ない。
 全感連は会員が限られすぎていると言った方がいい。正直に言うと、会員は全国で2人だけ。だから、だれも知らないのは当然である。
 会則の第1条は、「1日に10回感動しよう」である。第2条以下ははない。国旗及び国歌に関する法律は2条と付記で完結している短い法律だが、それを上回る短さである。
 感動しながら生きることを目指すが、どうも広がりに欠ける。会長は僕の友人で、僕は副会長という要職にある。しかし今のところ、そのほかに会員はいない。結成して10年近くになるが、いっさい会員は増えない。
 歴史を重ねてきたが、特筆する出来事は何もない。あるとすれば、1日の感動回数が目標数に達しないかとがあるくらいだが、その残念さはお互いの心中に秘めているだけで、世間に知られることもないから、大した問題にもならない。
 先日、NHKの「ためしてガッテン」を見て、全感連幹部としての自覚を持たねば、と強く感じた。テーマはハクサイだった。1玉の上半分(柔らかい葉の部分)と下半分(白い部分)に切り分ける。葉の部分を、有名な料理人が調理した。それに感動したからだ。さっそく自分でも作ってみた。
 葉の部分をざく切りにする。ビニール袋に入れ、小麦粉も少量加え、袋を振って、粉を葉にまぶす。フライパンに軽く油をひき、葉を重ねて弱火で焼く。途中でふたをして蒸し、上下をひっくり返して、さらに焼く。適当に切って更に盛る。ただ、それだけ。調味料なし。
 材料の少なさに感動した。次に調理の簡単さに感動。少しの粉でお好み焼き風にくっつくことに感動。食べて葉の甘味に感動。
 これだけで4感動だから、ハクサイの葉は優れものだ。これで5感動。茎の部分も食べれば、ハクサイだけで10感動を達成するに違いない。(梶川伸)2019.12.30

更新日時 2019/12/30


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