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編集長のズボラ料理(729) 手羽元と大根の煮物

煮込んでしょうゆの色がついた方がおいしそうに見える

 酒飲みにとって、焼き鳥屋さんはありがたい。だいたいが安いし、いろいろな部位が食べられ、味付けや工夫もさまざまで、行ってみたくなる。
 グルメな友人が、神戸市のJR垂水駅近くの焼き鳥屋さん「こうちゃん」に案内してくれたことがある。気に入ったのは、せせりのトリュフオイルかけだった。一口食べると香りが立つ。オイル、香辛料と、少し焦げた香ばしさとガリガリした食感に満足した。グルメな人は、焼き鳥に関してもそうなのだ、と妙に感心した。
 奈良県のブランド鶏に、大和肉鶏がある。それを使った奈良県橿原市の焼き鳥屋さんに娘夫婦が連れていってくれてことがある。誘われるとホイホイついて行き、細かいことが気になるのが、僕の悪い癖。
 まず気になったのは、店が煙モクモクではないこと。しかも、黒を基調にしたシックな装い。すすで汚れて横れているのではない。服装に一家言持っている友人が、「黒が1番派手」というが、焼き鳥屋さんでもそれが通用するのだろうか。
 店の名前も、大吉で秋吉でも、鶏貴でもない。「彩鶏」だと。それで「いろどり」と読ませるので、焼き鳥屋さんとしてはおしゃれすぎて、邪道である。
 メニューが変わっていた。僕は焼き鳥ファンだから、ぼんじりくらいは知っていたが、背肝、白子、銀皮、ふりそで、とくるから、何が何やら。
 締めの卵かけご飯にいたっては、ご飯に薬味と刻みネギとカツオ節が振ってあり、真ん中にキンカン。これは卵の黄身の元だから、つぶすとドロッと黄身が流れる。それに奈良県・吉野の生卵をかける。黄身はオレンジいろではなく黄色なので、意外性がありすぎるる。これで、焼き鳥屋さんと言えるのか。細かいことどころか、本質的なことが気になった。
 焼き鳥屋さんで、よく手羽先を食べる。大きいので、得をした気になるからだ。しかし、手羽元は食べることはない。焼くよりも煮る方が合っているからだろうか。
 今回は煮るので手羽元を使う。大根は皮をむいて、食べやすい大きさに切る。まず米のとぎ汁でゆでる。一旦取り出し、次はだしで煮る。味つけは砂糖、みりん。柔らかくなったら手羽元も入れて煮る。しばらくしてしょうゆを加えて煮込む。
 これも酒のあてにもいい。焼き鳥屋さんでも家でも、酒飲みにとって鶏は、ありがたい存在である。とりどりの味を楽しめるし。(梶川伸)2024.05.05

更新日時 2024/05/05


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